「教育とコンピュータ」という授業において,学生と共に「「教育」で「コンピュータ」を使い,何をするのか」を考えてきました。
このサイトでは,そこで得られた2022年度時点において,私たちが子供たちのために,
教育に役立つテクノロジーの応用や,その評価についてまとめることにより,
Covid19のパンデミックによって,取りまとめに時間がかかった研究活動の公開に換えたいと考えます。

公立千歳科学技術大学 情報システム工学科 教授 曽我 聡起
客員教授 川名 典人

はじめに

コロナが変えた日本の教育

私達が教育にコンピュータを使い始めたのは20世紀のことでした。1977年に発表され、のちに商業的に成功した最初のコンピュータ、と呼ばれることになったApple社のAppleIIというコンピュータがアメリカの教育界で利用されるようになりました。それまで教育に用いられるモノは様々あり、かのエジソンは映画を用いることを提案しました。教育にコンピュータを使うことについては、教育を実践していた教師や教育研究者たちが、様々な取り組みを行い、提案をしてきました。その後、21世紀になり、スマートフォンやタブレットが登場すると、PCの時代からPostPCの時代と呼ばれるようになり、私ものめり込んでいきました。そこにCOVID-19が始まり、教育のあり方に一石を投じることになりました。パンデミック禍において、教育を継続させるためには、コンピュータやタブレットなどの機材を使いネットワーク経由で実施する以外に方法が無かったのです。

コロナが変えた日本の教育

日本をはじめ、世界各国で様々な取り組みがなされました。偶然、日本では文部科学省が「GIGAスクール構想」(本来は2023年度達成予定)をスタートする時期と重なり、これを前倒しオンライン教育を実現することで、難局を突破することとなりました(2020年4月)。東大では、「東大メタバース工学部」 を立ち上げました。AppleII以降、教育におけるコンピュータの利用を避けてきた教師たちが少なからずいたわけですが、パンデミックに抗うことはかないませんでした。

コロナが変えた日本の教育

GIGAスクール構想では、学習者1人に1台の端末を付与したり、ネットワークの整備などのほか、重要な考えを盛り込んでいました。すなわち「創造性を育む教育」の実現です。真の意味でコンピュータを教育に有効利用することが求められたわけです。思えば、人類は過去パンデミックのたびに、新たな時代を切り開いてきたと聞きます。21世紀初頭にもたらされた、このパンデミックを通り過ぎた先には、何が実現されているのか、Post パンデミック時代の教育にコンピュータ技術が果たす役割とは何か、その一端をここに残します